あるべき介護と見守りサポートシステムへの要望(Part1)

伊藤順哉様(株式会社つるかめ 代表取締役社長:左)× 間瀬樹省様(ケアスタディ株式会社 代表取締役:右)

CareVision(ケアビジョン)の導入に際しまして、天童市の特別養護老人ホーム「つるかめの縁」の現場でお話をうかがいました。

左:株式会社つるかめ 代表取締役社長 伊藤順哉 様~以下(伊藤様)と表記させていただきます。
右:ケアスタディ株式会社 代表取締役 間瀬樹省 様~以下(間瀬様)と表記させていただきます。

目指す介護の在り方


— まず、伊藤様におうかがいしたいのですけれど、介護の業界に一歩踏み出したとき、どういうお考えで業界に参入されたのでしょうか?

伊藤様:学生のときに決めておりました。

— 最初からプランをお持ちだったのでしょうか?

伊藤様:そうですね、学生として山形を離れ全く違う分野の学校だったんですけれど、介護施設を見に行く機会があり、そこで衝撃を受けて、「なにかしらできることはないのかな」と急遽大きく舵を切り、介護業界を目指したということです。

— 衝撃といいますと?お差支えなければ…

伊藤様:差支えあるんですけど(笑)…いまから30年くらい前ですけれど…
「おじいちゃんおばあちゃんが大事にされてないな」という、言い方失礼ですけど「モノのような扱いをされているというか、流れ作業の中で介護されている」というような、「ひとりひとり」というふうな見方がされていない…というところを強く感じまして、おじいちゃんおばあちゃん子だったというところもあって、「これは酷いな」というところが第一印象…それだったら…なんとかしなきゃというおこがましいことではなくて「なにかしらできることがあるのではないか」と思って、いきなり介護業界に進むことに舵を切ったという…そんな感じです。

— ありがとうございます。間瀬様は長く介護施設の設計に携わってらっしゃいますけど、気をつけていらっしゃることとかは…

間瀬様:私たちが設計する上で気をつけていることは、「そこに暮らしている方の力を最大限引き出して、ご自分の望む生活をしていただきたい」ということです。少しでも手の力が残っていれば、その手の力を使って生活ができるように、少しでも足で踏ん張ることができればそれを活かして生活をしていただく、そんな暮らしができる設計を心がけていますね。

— ご入居なさっている方がご自分でできること…

間瀬様:そうです。できることは最大限やっていただいて、できないところを職員の方がサポートする。それでご自分の望む生活をしていただくことができたら一番いいなと思っております。

— 施設の運営上でご留意なさっている点といいますか気をつけていらっしゃることというのは…

伊藤様:在宅系サービスを一番多く持っているんですけれど、何故在宅系サービスを充実させてきたかと言いますと、「最後まで家で暮らして欲しいから」というところが一番の願いだからです。
お独り暮らしの方が年々増えてきてるという実感があります。「どうやったら最後まで家でくらしていただけるか」を考えたとき、間瀬さんがおっしゃったように「自分のことは自分でできる」ということを一日でも長く保っていただくと同時に、近所のお力もお借りした見守りのサポートをし、可能であればなにかしらの機器を使ってでも離れて暮らすご家族が一緒になって見守りができるような環境にできれば、また変わってくるのかなと思います。
入居施設においても、入居されてしまうとご家族がどんな体調で暮らしてるのかも分からないということになりがちですが、施設に居てもご家族ともっと距離を近づけられるようなものだったらいいなと、今はアナログ的にですが、できるだけご家族との距離を感じないような工夫をしながら運営しています。

これまでの見守りシステムについて


株式会社つるかめ 代表取締役社長 伊藤順哉 様

— これまで見守りのための機器はどういったものをお使いになっていますか?

伊藤様:いちばん最初に導入したのが、介護施設向けの睡眠の見守り(睡眠センサー)です。実際に眠れているのか眠れていないのかといったところは目視で判らないところがあります。夜間帯、安否確認のために何度もお部屋を訪問するんですけど、ぐっすり休まれてるときに行って睡眠の邪魔したくないな…と。排泄の介助についても、深い眠りの中で起されるのは誰でも苦痛です、365日それが続くのは良くない。眠りが浅くなったときとか覚醒したタイミングでわれわれが介入できれば睡眠の邪魔にならずぐっすり寝てもらえる。その一助として睡眠の見守りシステムを先駆けて導入しました。

— 離床に関するセンシングはご利用なさってますか?

伊藤様:ご自分でベッドから起きられたら転倒につながるという方は多くいらっしゃいますので…
お部屋の中というのは、廊下から見えるわけでもないしホールから見えるわけでもないので、いわばブラックボックスというか中でなにが起きてるか分からない。ご自身で立ち上がろうとしてしまって転倒につながったといったこともありますので、未然に防ぐための検知ができる赤外線を用いたものを使ったことはありますし、あとは足が着くと鳴るみたいなものは従来から併用したりしています。

見守りシステムへの思い


— 離床関係のセンシングでここがもっとこうなったらいいな、というのはおありですか?

伊藤様:もちろんありまして、
ベッドの上の見守りはできてると、
またベッドから降りようとしたときの見守りもできると、ただ、居室の中には居るんだけどベッドから離れてるという場所でなにが起きてるかが全く判らない
で、お部屋に行ってみたら、ベッドから離れた洗面の前でとか箪笥の前でとかで転倒されちゃってるということも過去にはありましたし、「どうやって転んでしまったのか?」が判らないので、そういった(どのような状況で転んだかが分かる)ものがいつかできるんではないかな、(実現)して欲しいなぁ、というふうに思ってました。

— この関係の設備といのは既存のもので対応できるものはありましたでしょうか?

間瀬様:私自身はなるべく残った能力を活かして生活していただきたい、そういった建物をつくりたいと思っていますが、従来のセンサー類は「動きをブロックするような、なるべく動いて欲しくない」という発想で作られたものが多いと感じていまして、どちらかというと距離を置いて見ていました。できれば使わずに済むほうがいいなと思っていたんですね。
ただ、今回のシステム(ケアビジョン)を開発された大槻さんご自身の体験をお聞きしたのですが、大槻さんのご家族がご自宅の近くの施設に入居したら、その施設は「とにかく危険なので動かないで欲しい」ということで、入居者に色々な行動をさせないケアをしている。そうすると、やはり精神的にも辛くなってしまって、暴力などの周辺症状が出て非常に状態が悪くなってしまった。そこを退去された後、しっかりとその人を見るケアをしている「思ったことができる施設」に入居したらすごく状態が良くなって、ご家族のことも分かるようになった。ご家族はアルツハイマー型の認知症だったということですが、このエピソードをお聞きして、開発者ご自身が利用者の希望を尊重することの大切さと行動を抑制することの危険性を凄くよく解ってらっしゃるのなのだと思いました。
つまり「自由に行動していただきたい」でも「危険が発生した時にはなるべく早く駆けつけられるように」かつ「職員の方も楽になるように」というような発想で創られたということで、その開発思想があるので、わたしは、良いシステムなのだろう、これならお薦めできるな、と感じました。

見守りの仕組みに期待すること


— 期待していただくことを教えていただけますでしょうか

伊藤様:先ほど申し上げたとおり、居室の中でどういったことが行われているのかということが分からない、でも、カメラをつけるのはプライバシーということ(自分がつけられたら絶対イヤだし)を考えると、
「プライバシーに配慮された形での動きが見れれば、特に転倒の際とかですよね、どういった転倒のしかたをされたのか、が見れれば手は打てる」と感じるので、そういったものが身近な存在として介護施設に普及すればいいなと思っています。